ドゥルーズ・ラーメンズ 要旨

このエントリは、ラーメンズという二人組のコント集団の作品を、「時間」「反復」「差異」「異化」といった文芸批評ワードを利用しながら論じるものです。具体的なコントを俎上に上げながら、それがいかにして読めるか/観られるかという解釈や読解の可能性…

『ハチワンダイバー』というマンガを読んでいて、ページとページをまたぐような大ゴマが多いような気がする、という印象をもったのがこの記事を書いたそもそものきっかけです。いくつかのマンガを参照しながら、こうしたコマが視線誘導やストーリーの中でど…

メタボリズム都市とドラクエ

六本木の森美術館で開催されている、メタボリズムの未来都市展に関して。平日昼だというのに、森美術館には子どもたちがたくさん。 メタボリズム展は、ドラクエ展と抱き合わせで開催されており、何らかの理由で学校が休みになっている少年たちが、ドラクエ展…

まず、この文章は2011年4月に学習院大学で行われた講義の概要をまとめたものであることを断っておきます。僕の意見はほとんどありません。あえて誰の意見かわからないように表記してありますが、以下のほとんどが夏目房之介氏とそのゼミに所属する院生の意…

『群青』が解体する日本 11

さっそく2010年度の誓いが破られてしまいました。 ちょっと駆け足で進めていきます。 前回までで、『群青の空を越えて』というゲームの、3人のヒロインの概略を説明しました。そしてそれぞれのヒロインのストーリーに内包される、「だれのための戦争なのか…

『群青』が解体する「日本」10

さてヒロイン3人目。いわゆる年上のお姉さんです。 このルートでは、戦争が思ったより早く終わってしまうのです。作品を通じて語られる背景に、日本国内の「戦争」がアメリカ大統領選と密接に関わっていることがあげられるのですが、ここでは、現職を再選さ…

『群青』が解体する「日本」9

続き。この水木若菜という同級生と恋仲になるルートでは、「自分のため」に戦争に参加する姿に焦点が当たっている、という話でした。それは戦争という極限状態を戦い抜くために必要な「意志」とでも言い換えられるのかもしれません。戦争のきっかけ自体はプ…

『群青』が解体する「日本」8

次は水木若菜というキャラの「戦争」について。どう贔屓目に見ても、彼女がこの作品におけるメインヒロインです。 前回の書き方からもう予想がつくと思いますが、このルートでは「自分のために戦う」ことが強調されています。自分のために戦う、って一体どう…

『群青』が解体する「日本」7

もう7回目になるのに、アブストラクトの5項目のうち、ひとつも達成されてなくて笑ってしまった。とりあえず、「なぜ『戦争』に参加するのか」について説明していきますね。恋愛ゲームである以上、どうしても男女の関わりは避けられないわけですが、論理と…

『群青』が解体する「日本」6

今回は、この作品が参照枠としている「学生闘争」について簡単に触れて、作品の世界観を理解する助けとしてみます。そもそも、どうして実際の歴史を引っ張り出すことが作品理解に繋がるのか、という疑問をもたれてしまうこともあるのですが、だいたいある作…

『群青』が解体する「日本」5

展開が遅いブログですが、今日こそ、「戦争」という題材を語る中で問題になる、「戦争という極限状態はなぜ生み出されているのか」ということについて触れていきます。外的な戦争要因もですが、それより内部が戦争に駆り立てられている理由に焦点を当ててい…

『群青』が解体する「日本」4

前回からのテーマである、国家とは何か、という問題。作品内に出てくることばを少しずつ拾いながら、深みに降りていきたいと思います。そもそも、関東と関西の「内戦」にいたる発端として、主人公の父親が発表した論文が挙げられています。この辺りはゲーム…

『群青』が解体する「日本」3

前回は、「日本」「関東」「関西」といった大きな枠でのこのゲームの概観をおこないましたが、 もう少しミクロな視点で、戦争の恐ろしさについて描写する部分もあります。例えば、主人公であるエースパイロットは、新しく着任した女性パイロットに訓練をつけ…

『群青』が解体する「日本」2

ゲームの電源を入れると、物語は、普通の学校風景から始まります。お昼休み、人気のある食堂は混み、仕方ないからパンでも食べようか、といった友人とのやり取り。 そこに、突然警報が鳴り始めます。 「関西軍」からの核攻撃を想定した、訓練である、と。そ…

『群青』が解体する「日本」アブストラクト

『群青の空を越えて』は、lightから2005年に発売されたPCゲームです。 一言で言うと「架空戦記」モノ。日本が関西と関東とまっぷたつに分かれて戦争を開始する、というトンデモストーリーです。・・・ところが、この作品、「緻密な考証」を売りにしているだ…

まとめ

あれだけ意気揚々と「書く!」と言っておきながら、尻切れトンボになってしまってスイマセン。 このペースで「グルグル論」を書いていくと5年くらいかかるので、ネタバラシをします。この論考を書こうと思ったのは、『グルグル』には従来の「子ども観」を突…

 なんで物語の結末を批判するの?

ゲームやマンガのレヴューサイトで、よくこんな文章に出くわすことがあります。 結末がダメだった。つまらなかった。 もうね、何を言ってるんだと。小説や物語は、作者が提示する、「今ここにある世界とは別の世界」です。 その結末に、疑念を差し挟む余地な…

3 共同体の維持の難しさ

4.「現代人にとって都合のいい『病気』」(「Last program 桜の季節」より) 最後の二回程度の短編は総集編的な役割を担い、かつ、日本でとある「病気」が流行しているという新しい設定が明かされる。恋人が発病してしまった青年が、この病気を以下のよう…

2 学生のソーシャルネットワーク

続きです。2. 中学生のコミュニティ形成について(「12th program 砂の城」より) この短編には、二人の女子中学生が登場する。小学生の頃は「泣き虫」だったが見事「中学デビュー」を果たした岡崎サトと、超然とした雰囲気のために友達もいない少女の交流…

1 若者のソーシャルネットワーク

スイマセン、あまりに書く時間がないので、 過去に大学で書いたレポートを転用します。 あまり納得のいっていない部分もありますが、長期休みなどを使って再度考察したいと思います。 題材は、浅野いにおという新進気鋭の漫画家さんです。 ほとんどレポート…

『グルグル』の設定する「装置」

スイマセン、なんかもう新生活で全然生活リズムが間に合ってなくて・・・ もう少し頑張ります。前回挙げた、単行本コミックスの表紙の絵が変わっていっているという話についてです。作者である衛藤ヒロユキ氏は、この『グルグル』という作品に、10年の歳月を…

2 『グルグル』における敵と味方

『グルグル』が乗り越えてしまった、「ドラクエ的世界観」についての話でした。 前回は、メタドラクエ的なギャグ、レベルとお金の概念について触れましたが、今回は内容に関わるようなお話です。 一般に、RPG含むゲームは、「敵」と「味方」が存在します。主…

『グルグル』とドラクエ的世界観

アブストラクトにも書きましたが、今回から数回で、「魔法陣グルグル」という作品がこの世に問いたかったことを書いていきたいと思います。この漫画がどういった漫画であるかを説明するのは難しいのですが、普通のRPG漫画を想像して頂けるとそんな感じでいい…

こどもだけのまほう

『魔法陣グルグル』という題材を使って論ずる「子どもだけの魔法」は、次の論点に添って書いていく予定です。「子ども」と「大人」の違いとは何なのか?僕は、この『魔法陣グルグル』という漫画を何度も読んできた結果、ここまで緻密に「子どもとはどういう…

最終回は、全体のまとめを兼ねて、『有心論』から読み取れる僕なりの結論を記しておきます。 結局、この歌詞を読んだところで「心は存在しない」という結論に変わりはないのですが、「人間の心」って、刺激(S)と反応(R)の関係の観察だけでは捉えられない部分…

最後に『有心論』を取り上げて、人間科学の限界について語ろうと思います。 歌詞はhttp://www.utamap.com/showtop.php?surl=B17747そもそもタイトルからして挑戦的ですよね。「心」が実在として「有る」という「論」をこの歌詞で展開するわけですから、人間…

『愛し』を「心」と「言葉」の関係の問題から捉えているところでした。詞の後半部で、「僕」はある心境の変化を迎えます。 まず、「僕の心」を知っているのは誰か、という疑問に答えた部分を抜き出してみます。 人が人のために流す涙 それこそが愛の存在の証…

少し間が空いてしまいましたね。 RADWIMPSと人間科学、第3回です。次からは、『愛し』(かなし)を取り上げます。 (歌詞はhttp://music.yahoo.co.jp/shop/p/53/321049/Y042597でどうぞ)<僕、君、自分、誰か…?>一読して、この歌が何を語っている詞かわ…

『最大公約数』、第二回です。 「君が8なら 僕は2になる 僕が10なら 君は5になる」ってフレーズのおかしさをしつこく考えているところでした。 「公約数」は、ふたりに数字が与えられていることが前提であるという問題で、「君が9で、僕が16ならどう…

こんにちは。心機一転頑張ります。今回からは、RADWIMPSというアーティストさんの歌詞を精読してみたいと思います。その中で、作詞を手がける野田洋次郎氏の人間性のようなものにアプローチしていけたらいいなぁと考えています。この論考ではあくま…