2010-01-01から1年間の記事一覧

『群青』が解体する日本 11

さっそく2010年度の誓いが破られてしまいました。 ちょっと駆け足で進めていきます。 前回までで、『群青の空を越えて』というゲームの、3人のヒロインの概略を説明しました。そしてそれぞれのヒロインのストーリーに内包される、「だれのための戦争なのか…

『群青』が解体する「日本」10

さてヒロイン3人目。いわゆる年上のお姉さんです。 このルートでは、戦争が思ったより早く終わってしまうのです。作品を通じて語られる背景に、日本国内の「戦争」がアメリカ大統領選と密接に関わっていることがあげられるのですが、ここでは、現職を再選さ…

『群青』が解体する「日本」9

続き。この水木若菜という同級生と恋仲になるルートでは、「自分のため」に戦争に参加する姿に焦点が当たっている、という話でした。それは戦争という極限状態を戦い抜くために必要な「意志」とでも言い換えられるのかもしれません。戦争のきっかけ自体はプ…

『群青』が解体する「日本」8

次は水木若菜というキャラの「戦争」について。どう贔屓目に見ても、彼女がこの作品におけるメインヒロインです。 前回の書き方からもう予想がつくと思いますが、このルートでは「自分のために戦う」ことが強調されています。自分のために戦う、って一体どう…

『群青』が解体する「日本」7

もう7回目になるのに、アブストラクトの5項目のうち、ひとつも達成されてなくて笑ってしまった。とりあえず、「なぜ『戦争』に参加するのか」について説明していきますね。恋愛ゲームである以上、どうしても男女の関わりは避けられないわけですが、論理と…

『群青』が解体する「日本」6

今回は、この作品が参照枠としている「学生闘争」について簡単に触れて、作品の世界観を理解する助けとしてみます。そもそも、どうして実際の歴史を引っ張り出すことが作品理解に繋がるのか、という疑問をもたれてしまうこともあるのですが、だいたいある作…

『群青』が解体する「日本」5

展開が遅いブログですが、今日こそ、「戦争」という題材を語る中で問題になる、「戦争という極限状態はなぜ生み出されているのか」ということについて触れていきます。外的な戦争要因もですが、それより内部が戦争に駆り立てられている理由に焦点を当ててい…

『群青』が解体する「日本」4

前回からのテーマである、国家とは何か、という問題。作品内に出てくることばを少しずつ拾いながら、深みに降りていきたいと思います。そもそも、関東と関西の「内戦」にいたる発端として、主人公の父親が発表した論文が挙げられています。この辺りはゲーム…

『群青』が解体する「日本」3

前回は、「日本」「関東」「関西」といった大きな枠でのこのゲームの概観をおこないましたが、 もう少しミクロな視点で、戦争の恐ろしさについて描写する部分もあります。例えば、主人公であるエースパイロットは、新しく着任した女性パイロットに訓練をつけ…

『群青』が解体する「日本」2

ゲームの電源を入れると、物語は、普通の学校風景から始まります。お昼休み、人気のある食堂は混み、仕方ないからパンでも食べようか、といった友人とのやり取り。 そこに、突然警報が鳴り始めます。 「関西軍」からの核攻撃を想定した、訓練である、と。そ…

『群青』が解体する「日本」アブストラクト

『群青の空を越えて』は、lightから2005年に発売されたPCゲームです。 一言で言うと「架空戦記」モノ。日本が関西と関東とまっぷたつに分かれて戦争を開始する、というトンデモストーリーです。・・・ところが、この作品、「緻密な考証」を売りにしているだ…

まとめ

あれだけ意気揚々と「書く!」と言っておきながら、尻切れトンボになってしまってスイマセン。 このペースで「グルグル論」を書いていくと5年くらいかかるので、ネタバラシをします。この論考を書こうと思ったのは、『グルグル』には従来の「子ども観」を突…