2009-01-01から1年間の記事一覧

 なんで物語の結末を批判するの?

ゲームやマンガのレヴューサイトで、よくこんな文章に出くわすことがあります。 結末がダメだった。つまらなかった。 もうね、何を言ってるんだと。小説や物語は、作者が提示する、「今ここにある世界とは別の世界」です。 その結末に、疑念を差し挟む余地な…

3 共同体の維持の難しさ

4.「現代人にとって都合のいい『病気』」(「Last program 桜の季節」より) 最後の二回程度の短編は総集編的な役割を担い、かつ、日本でとある「病気」が流行しているという新しい設定が明かされる。恋人が発病してしまった青年が、この病気を以下のよう…

2 学生のソーシャルネットワーク

続きです。2. 中学生のコミュニティ形成について(「12th program 砂の城」より) この短編には、二人の女子中学生が登場する。小学生の頃は「泣き虫」だったが見事「中学デビュー」を果たした岡崎サトと、超然とした雰囲気のために友達もいない少女の交流…

1 若者のソーシャルネットワーク

スイマセン、あまりに書く時間がないので、 過去に大学で書いたレポートを転用します。 あまり納得のいっていない部分もありますが、長期休みなどを使って再度考察したいと思います。 題材は、浅野いにおという新進気鋭の漫画家さんです。 ほとんどレポート…

『グルグル』の設定する「装置」

スイマセン、なんかもう新生活で全然生活リズムが間に合ってなくて・・・ もう少し頑張ります。前回挙げた、単行本コミックスの表紙の絵が変わっていっているという話についてです。作者である衛藤ヒロユキ氏は、この『グルグル』という作品に、10年の歳月を…

2 『グルグル』における敵と味方

『グルグル』が乗り越えてしまった、「ドラクエ的世界観」についての話でした。 前回は、メタドラクエ的なギャグ、レベルとお金の概念について触れましたが、今回は内容に関わるようなお話です。 一般に、RPG含むゲームは、「敵」と「味方」が存在します。主…

『グルグル』とドラクエ的世界観

アブストラクトにも書きましたが、今回から数回で、「魔法陣グルグル」という作品がこの世に問いたかったことを書いていきたいと思います。この漫画がどういった漫画であるかを説明するのは難しいのですが、普通のRPG漫画を想像して頂けるとそんな感じでいい…

こどもだけのまほう

『魔法陣グルグル』という題材を使って論ずる「子どもだけの魔法」は、次の論点に添って書いていく予定です。「子ども」と「大人」の違いとは何なのか?僕は、この『魔法陣グルグル』という漫画を何度も読んできた結果、ここまで緻密に「子どもとはどういう…

最終回は、全体のまとめを兼ねて、『有心論』から読み取れる僕なりの結論を記しておきます。 結局、この歌詞を読んだところで「心は存在しない」という結論に変わりはないのですが、「人間の心」って、刺激(S)と反応(R)の関係の観察だけでは捉えられない部分…

最後に『有心論』を取り上げて、人間科学の限界について語ろうと思います。 歌詞はhttp://www.utamap.com/showtop.php?surl=B17747そもそもタイトルからして挑戦的ですよね。「心」が実在として「有る」という「論」をこの歌詞で展開するわけですから、人間…

『愛し』を「心」と「言葉」の関係の問題から捉えているところでした。詞の後半部で、「僕」はある心境の変化を迎えます。 まず、「僕の心」を知っているのは誰か、という疑問に答えた部分を抜き出してみます。 人が人のために流す涙 それこそが愛の存在の証…

少し間が空いてしまいましたね。 RADWIMPSと人間科学、第3回です。次からは、『愛し』(かなし)を取り上げます。 (歌詞はhttp://music.yahoo.co.jp/shop/p/53/321049/Y042597でどうぞ)<僕、君、自分、誰か…?>一読して、この歌が何を語っている詞かわ…

『最大公約数』、第二回です。 「君が8なら 僕は2になる 僕が10なら 君は5になる」ってフレーズのおかしさをしつこく考えているところでした。 「公約数」は、ふたりに数字が与えられていることが前提であるという問題で、「君が9で、僕が16ならどう…

こんにちは。心機一転頑張ります。今回からは、RADWIMPSというアーティストさんの歌詞を精読してみたいと思います。その中で、作詞を手がける野田洋次郎氏の人間性のようなものにアプローチしていけたらいいなぁと考えています。この論考ではあくま…

アブストラクト

6〜7回に分けて論じる予定の「野田洋次郎と人間科学」は、次の点を主眼として書いています。歌詞から読み取れる野田洋次郎の人間性を想像しながら、人間の「心」とは何かについて考察する野田洋次郎氏は、日本のロックバンド(と言っていいのかはわかりま…

アブストラクト

7回に分けて論じた「ミスチルと記号論」は、以下の2つを主眼として書かれています。1 20世紀に隆盛した「記号論」という学問領域を、J-POPの歌詞に適用すること僕自身、記号論という学問に詳しいわけではありませんが、「書かれた言葉・テクスト(テキス…